
停電したときの家の初動|給湯器・冷蔵庫・ブレーカーの順番
結論: 停電したら手をつける順番は3つです。①冷蔵庫を開けない(開けなければ冷蔵室は約2〜3時間もちます) ②使っていた家電のプラグを抜く ③家を離れるならブレーカーを落とす。この3つを先にやっておけば、後の被害がぐっと小さくなります。お湯が出るかどうか、電気が戻った後にどの順番で戻すか、そして「1か所だけ動かない」ときにどこを見るかまで、住宅設備を扱う施工会社の目線でまとめました。
停電したら、何から手をつける?(順番は3つ)
暗いなかで慌てて動くと、後片づけが増えます。まずは下の3つを、この順番で。
| 順番 | やること | なぜ | やらないこと |
|---|---|---|---|
| 1 | 冷蔵庫・冷凍庫のドアを開けない | 開けなければ冷蔵室で約2〜3時間が目安。開けた瞬間に保冷の力が落ちる | 中身の確認のために何度も開ける |
| 2 | 使っていた電気製品のプラグを抜く | 電気が戻ったときに、倒れた暖房器具や傷んだ配線から出火する「通電火災」を防ぐため | スイッチを切っただけで安心する |
| 3 | 家を離れるならブレーカーを落とす | 留守中に電気が戻ると、火が出ても気づくのが遅れる | 濡れた手でブレーカーを触る |
あわせて、明かりはろうそくではなく懐中電灯やスマートフォンのライトを使ってください。停電中は転倒や落下物で足元が危なくなっていることがあります。
冷蔵庫はどれくらいもつ?開けないのが一番効きます
十分に冷えた状態で停電した場合、ドアを開けなければ冷蔵室でおおむね2〜3時間が一般的な目安とされています。冷凍室は、すき間なく凍った食材が詰まっていれば、季節によって半日から1日程度もつこともあります(いずれも扉を開けない場合)。夏場や、直射日光の当たる場所に置いている場合はもっと短くなります。
- 開けない。これが一番効きます。何を食べるかは、開ける前に家族で決めてから1回で取り出します。
- 冷凍庫は詰まっているほうがもちます。保冷剤や凍らせたペットボトルがあると、冷蔵室へ移して使えます。
- 復旧後の食品は、匂いと状態で判断してください。長時間温度が上がったものを「もったいないから」と食べるのは避けます。
停電中にお湯は出る?(エコキュート・ガス給湯器)
ここは機種によって答えが変わるところです。
- エコキュート: 2008年以降の機種では、タンクに熱が残っていれば蛇口やシャワーからお湯が出ることがあります(自動のお湯はりはできません)。ただし停電中は温度の調節が効かず、高温のお湯が出るおそれがあります。必ず水を混ぜ、手で温度を確かめてから使ってください。それより前の機種では水しか出ないものもあります。
- ガス給湯器: 点火や制御に電気を使うため、停電すると基本的に使えません。電池式の一部の機器を除き、電気が戻るまで待つことになります。
いずれも最終的にはお使いの機種の取扱説明書が正です。台風シーズンの前に、給湯器の取扱説明書の「停電したとき」のページに付箋を貼っておくと、暗いなかで探さずに済みます。
断水も一緒に起きたら、タンクの水が使えます
エコキュートを使っているご家庭では、貯湯タンクの下にある非常用取水栓から、タンクに残っている水やお湯を生活用水として取り出せます。トイレを流す、体を拭くといった用途に使えます。
- 飲用には向きません。メーカーも飲用を避けるよう案内しています。
- 高温の湯が出ることがあります。バケツを用意し、やけどに注意してください。
- 取り出す手順は機種で異なります。逃し弁のレバーを上げてから取水栓を開けるなど、順番があります。平常時に一度確認しておくのが一番確実です。
なぜプラグを抜くのか?(通電火災という言葉)
停電が復旧したときに、電気が一斉に戻ることで起きる火災を通電火災といいます。倒れたままの電気ストーブに可燃物が触れていた、地震や浸水で配線が傷んでいた、コンセントとプラグの間にほこりが溜まっていた——こうした状態のところへ急に電気が流れると、出火につながります。留守にしていると発見も遅れます。
総務省消防庁も、地震火災対策の考え方として、停電中は電化製品のスイッチを切るとともに、電源プラグをコンセントから抜くこと、そして使用を再開するときは機器に破損がないこと・近くに燃えやすいものがないことを確認すること、再通電の後もしばらくは煙やにおいなどの異常がないか注意を払うことを挙げています。家を離れるときにブレーカーを落としておくのは、これをさらに確実にするための備えです。台風の多い地域では、季節の始まりに家族で一度共有しておくと、とっさに動けます。
電気が戻ったら、どの順番で戻す?
- まず家のまわりと室内を見る。焦げた匂い、水に濡れたコンセント、外れたコード、倒れた暖房器具がないかを確認します。
- ブレーカーを落としていた場合は、大きいスイッチ(主幹)から順に上げる。一気に全部を上げず、部屋ごとの小さいスイッチは1つずつ上げます。
- プラグを挿し直すのは最後。1つ挿すごとに、異音・異臭・発熱がないかを確かめます。
- 濡れた家電は挿さない。浸水や水濡れがあった家電は、乾いて見えても内部に水が残っていることがあります。メーカーか販売店に相談してください。
復旧したのに1か所だけ動かない。それ、専用回路かもしれません
現場からひとこと(当社工務担当)
当社がエアコンの現地調査で最初に確かめると決めているのは、コンセントの形状・電圧(100Vか200Vか)・専用回路があるか・分電盤に空きがあるかの4つです。エアコンは消費電力が大きいため、ブレーカー1つにエアコン1台という「専用回路」で配線するのが原則だからです。裏を返すと、その1台ぶんのスイッチが下がっているだけでも、エアコンは動きません。分電盤の一番大きなスイッチ(主幹)が上がっていることだけを確認して「故障した」と判断される前に、個別のスイッチが1つだけ下がっていないかを見てください。順番として、まずここです。
症状ごとに、どこを見ればよいかを整理しました。
| 症状 | まず見るところ | 自分でできること | 専門業者を呼ぶ目安 |
|---|---|---|---|
| 家全体が真っ暗なまま | 近所も停電しているか。電力会社の停電情報 | 電力会社の停電情報を確認する | 周囲は復旧しているのに自宅だけ暗い場合 |
| 一部の部屋だけ電気が来ない | 分電盤の個別スイッチ(下がっているものがないか) | 下がっているスイッチを1つずつ上げる | 上げてもすぐ落ちる場合(漏電の可能性) |
| エアコンだけ動かない | エアコン専用のスイッチ、コンセント、リモコンの電池 | 専用スイッチを上げる。リモコンの電池を替える | スイッチが入っているのに起動しない場合 |
| お湯が出ない | 給湯器本体の漏電遮断器、分電盤の給湯器用スイッチ、リモコンの時刻表示 | 遮断器とスイッチを確認。時刻が点滅していれば時刻を設定し直す | 電源が入っているのに湯が沸かない場合(お湯が出ない時の対処) |
| 温水洗浄便座の機能が戻らない | 便座のコンセント(アース付き)、そのコンセントの回路 | コンセントの挿し直し、ブレーカーの確認 | 通電しているのに動かない場合 |
分電盤の個別スイッチを上げてもすぐに落ちる場合は、その回路のどこかで漏電が起きている可能性があります。無理に何度も上げ直さず、電気工事の有資格者に見てもらってください。なお、コンセントの増設・専用回路の増設・100Vから200Vへの切り替え・壁の中の配線は、第二種電気工事士の資格が必要な作業です。専用回路の増設にかかる費用は市場でおおむね15,000〜55,000円(2026年8月時点・配線の距離や分電盤の空き状況で変わります)と幅があります。
台風シーズンの前に、やっておくと効くこと
- 分電盤の写真を撮っておく。どのスイッチがどの部屋かのラベルを、明るいうちに撮っておくと、暗いなかで迷いません。
- 給湯器の取扱説明書の「停電時」のページに印をつけておく。非常用取水の手順も同じページにあることが多いです。
- 保冷剤を冷凍庫に入れておく。停電時にそのまま冷蔵室へ移せます。
- 屋外の点検もセットで。停電の原因が台風なら、家の外にも被害が出ています(台風が来る前の家の点検)。
よくある質問(FAQ)
- 停電したら冷蔵庫は何時間もちますか?
- 十分に冷えた状態でドアを開けなければ、冷蔵室はおおむね2〜3時間が目安とされています。冷凍室はすき間なく詰まっていれば、季節によって半日から1日程度もつこともあります。夏場や設置場所の条件によってはもっと短くなります。一番効くのはドアを開けないことで、開けた瞬間に外の空気が入り、保冷の力は一気に落ちます。
- 停電中にエコキュートのお湯は使えますか?
- 機種によります。2008年以降の機種では、タンクに熱が残っていれば蛇口やシャワーからお湯が出ることがあります(自動のお湯はりはできません)。ただし停電中は温度の調節が効かず、高温のお湯が出るおそれがあります。必ず水を混ぜ、手で温度を確かめてから使ってください。最終的な可否はお使いの機種の取扱説明書が正です。
- 停電したらブレーカーは落としたほうがいいですか?
- 使っていた電気製品のプラグを抜くのが基本で、家を離れる場合はブレーカーを落としておくと安心です。停電が復旧したときに、倒れたヒーターや傷ついた配線に急に電気が流れて火災になる「通電火災」を防ぐためです。総務省消防庁も、停電中は電化製品のスイッチを切るとともに電源プラグをコンセントから抜くこと、使用を再開するときは機器に破損がないか、近くに燃えやすいものがないかを確認することを呼びかけています。
- 電気が戻ったのに、エアコンだけ動きません。故障ですか?
- 分電盤の中の、そのエアコン専用のブレーカーが落ちているだけのことがあります。エアコンは消費電力が大きく、ブレーカー1つにエアコン1台という専用回路で配線するのが原則です。分電盤の一番大きなスイッチ(主幹)だけを見て故障と判断されている方が少なくありません。個別のスイッチが1つだけ下がっていないかを確認してください。
- 停電と一緒に断水したら、家の中に使える水はありますか?
- エコキュートを使っているご家庭では、貯湯タンクの下にある非常用取水栓から、タンクに残っている水やお湯を生活用水として取り出せます。飲用には向かないとメーカーが案内しており、また高温の湯が出ることがあるためやけどに注意が必要です。取り出し方は機種で異なるので、平常時に一度取扱説明書の該当ページを確認しておくと安心です。
参考にした公的情報・メーカー公式情報
- 株式会社コロナ「災害・断水・停電時|よくあるご質問(エコキュート)」 https://www.corona.co.jp/eco/support/faq/disaster/
- 三菱電機「自然災害や停電・断水時の対応について(エコキュート)」 https://www.mitsubishielectric.co.jp/home/ecocute/notice/blackout-water-outage.html
- 総務省消防庁「令和2年版 消防白書 コラム 地震火災対策について」(通電火災と、停電中・再通電時に取るべき行動) https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/r2/chapter1/section1/para3/56542.html
- パナソニック「停電で冷蔵庫は何時間もつ?中身を守る方法と停電時の保冷対策」 https://panasonic.jp/life/safety/130010.html
※記事中の金額は2026年8月時点の一般的な相場の目安で、幅で記載しています。実際の費用は現地の状況を確認したうえでのお見積りで確定します。給湯器の停電時の動作は機種・年式で異なるため、最終的には取扱説明書とメーカーの案内が正です。