
台風が来る前の家の点検|雨どい・棟板金・フェンス・ブロック塀の見かた
結論: 台風の前に見るのは4か所だけです。雨どい・棟板金・目隠しフェンス・ブロック塀。所要30分、費用0円。屋根には登らず、地上と2階の窓から見ます。台風で「飛ぶ・倒れる」の大半は、この4か所のどれかから起きます。この記事では、私たちが現場で実際に使っている見かたの順番と、台風までの残り日数でできることが変わる話、そして台風の後に業者を呼ぶ前に撮っておくべき写真までをまとめました。
台風の前、何を見ればいい?(30分でできる4か所)
見る順番は、危ないものが「飛ぶ」か「倒れる」かで決めます。飛ぶものは屋根まわり(雨どい・棟板金)、倒れるものは地面のもの(フェンス・ブロック塀)です。まずは下の表を持って家のまわりを一周してください。
| 見る場所 | 見るところ | 危ないサイン | 見つけたら |
|---|---|---|---|
| 雨どい | 詰まり・割れ・傾き(勾配)・金具の外れ | 雨の日に樋から水があふれる/継ぎ目がずれている/金具が浮いている | 手が届く範囲の落ち葉だけ取る。高い所は業者へ |
| 棟板金(屋根の一番高い所の金属) | 釘・ビスの浮き、端の波打ち | 釘の頭が飛び出して影が見える/金属の端が浮いている | 台風前なら打ち直しで収まることが多い。自分で登らない |
| 目隠しフェンス | 支柱の根元、パネルの留め具 | 手で押すと支柱が動く/根元のコンクリートにひび | 留め具を締め直す。ぐらつくなら台風前に補強を相談 |
| ブロック塀 | 傾き・ひび・ぐらつき | 塀が道路側に傾いている/縦にひびが通っている/押すと動く | 近づかない・物を置かない。撤去や作り替えの検討へ |
この4つに加えて、庭やベランダの「飛ぶもの」(植木鉢・物干し竿・ゴミ箱・自転車)を屋内か風の当たらない場所へ移すところまでが、台風前の30分です。
屋根には登らないでください。地上と2階の窓から見ます
現場からひとこと(当社工務担当)
台風前の点検について、当社が方針として決めているのは「屋根には登らない」ことです。地上からと2階の窓から、スマートフォンで撮った写真を拡大して、棟板金の釘の浮き・漆喰の崩れ・瓦のズレを見ます。そしてこの場では「塗るのか、葺き替えるのか」までは決めません。台風前に判断するのは「飛ぶかどうか」だけと決めています。工法の話は台風が過ぎてから、屋根材の種類を確かめたうえでします。
屋根に上がる作業は、慣れた職人でも安全帯と足場の判断が要ります。台風前は風が出ていることも多く、事故が起きやすい条件がそろいます。写真が不鮮明でもかまいません。そのまま施工会社へ送れば、見立ての材料になります。
雨どいはどこを見る?(詰まり・割れ・勾配・金具の4つ)
雨どいの不具合は、大きく4種類しかありません。詰まり・割れ・勾配のくるい・金具の外れです。
- 詰まり: 落ち葉や砂が溜まると、雨のときに軒どいから水があふれます。あふれた水は外壁を伝い、長く続くと外壁の汚れや傷みにつながります。
- 割れ: 継ぎ目の外れや縦樋の割れは、地上から見上げれば分かります。
- 勾配のくるい: 雨が止んだ後も軒どいに水が残っているなら、傾きがくるっているサインです。
- 金具の外れ: 樋を支える金具が浮いていると、強風で樋ごと引っぱられます。
台風前にできるのは、地面に立ったまま手が届く範囲の落ち葉を取ることまでです。脚立に乗る作業は落下事故が多いのでおすすめしません。業者に頼む場合の一般的な費用は、清掃だけなら1回あたり約5,000〜30,000円(建物の大きさ・樋の長さ・作業のしやすさによる/2026年8月時点の目安)です。屋根の勾配がきつく足場が必要になると、足場代が別に必要になります。
棟板金の釘が浮いていたら、台風前に何ができる?
棟板金は、屋根の一番高いところに被せてある金属の部材です。下地の木に釘やビスで留めてあり、この釘が抜けかけていると、強風であおられて浮き上がり、最悪の場合は屋根から外れて飛びます。私たちが台風前の点検で「緊急度が高い」と判断するのは、まずここです。
費用の目安(いずれも2026年8月時点の一般的な相場・現地の状況で変わります)は次のとおりです。
- 釘の打ち直し+シーリング(部分補修): 1棟あたり約1.5〜5万円
- 棟板金の交換: 約4〜20万円(長さ・形状・下地の傷み具合による)
屋根の高さや形によっては足場が必要になり、その場合は別途費用がかかります。金額が幅で示されるのは、屋根に上がって下地の状態を見るまで、打ち直しで済むのか下地から直すのかが確定しないためです。
陶器瓦の家は、瓦そのものより漆喰と棟を見ます
屋根材の種類によって、台風前に見るところが変わります。ここは間違えている方がとても多いところです。
- 陶器瓦(釉薬瓦): 瓦そのものは塗る必要がありません。見るのは棟の漆喰の崩れと、瓦のズレです。
- スレート(化粧スレート・コロニアル): 反り・割れ・苔。銘柄によっては塗装ができないものもあるため、塗ると決めつけないでください。
- 金属(ガルバリウムなど): 錆と、端部のめくれ・留めビスの浮き。
「屋根の点検=塗装の話」だと思って業者を呼ぶと、本当に危ない飛散リスクが後回しになることがあります。台風前は、まず飛ぶ可能性のある部位から見てください。屋根全体の工事を考える段階になったら屋根リフォームの費用相場もあわせてご覧ください。
目隠しフェンスとブロック塀、台風で危ないのはどっち?
性質がまったく違うので、対処も分けて考えます。フェンスの敵は重さではなく風、ブロック塀の敵は経年による鉄筋の傷みと基礎です。
| 目隠しフェンス | ブロック塀 | |
|---|---|---|
| 弱点 | 風。隙間の少ない目隠しほど風をまともに受ける | 傾き・ひび・内部の鉄筋の腐食・基礎の不足 |
| 台風前にできること | 支柱の根元とパネルの留め具を確認し、緩みを締める | 近づかない。塀ぎわに車や自転車を置かない |
| 直すときの考え方 | 支柱の間隔を詰めるほど風に強くなる。必要な仕様は製品ごとに違い、メーカーの据付説明書が正 | 部分補修で粘るより、撤去または作り替えの検討になることが多い |
| 費用の目安 (2026年8月時点) | 新設は目隠しフェンス工事の費用相場を参照 | 撤去は長さ1mあたり約5,000〜15,000円(高さ・処分・重機の入りやすさで変動) |
| 公的な補助 | なし | 自治体の撤去補助あり(2026年度・詳細は地震とブロック塀の記事へ) |
現場からひとこと(当社工務担当)
背の高い目隠しフェンスの工事で、当社は既存のブロック塀の上に載せる案を出しません。「独立基礎になるのでブロック上は不可」というのが工務の判断です。塀の上に載せると、フェンスが受けた風の力が塀の頭に集中します。もともとフェンスを載せる前提で造られていない塀では、そこが弱点になります。地面で自立させるほうが、台風のたびに心配しなくて済みます。
台風まで何日ある?残り日数でできることが変わります
- 3日以上ある: 施工会社に点検を頼める時間があります。棟板金の打ち直しなど、当日中に終わる補修が間に合う可能性があります。
- 1〜2日: 業者の手配は混み合います。自分でできること(飛ぶ物の片づけ・手が届く範囲の落ち葉・フェンスの留め具の締め直し・雨戸の確認)に絞ってください。
- 前日〜当日: 外での作業はしません。屋内の準備(水・電池・スマートフォンの充電・停電への備え)に切り替えます。停電したときの動き方は停電したときの家の初動にまとめています。
「今日中に直してもらわないと危ない」と急かされる場面ほど、落ち着いて判断してください。台風前に飛び込みで来る業者への即決は、後からトラブルになりやすい形です(訪問販売のリフォーム見積はなぜ高い?)。
台風の後、業者を呼ぶ前に撮っておく写真
被害があった場合、修理そのものより先にやっておくと後が楽になるのが写真です。撮るのは3種類です。
- 家の全景: どの面がどうなったかが分かる引きの写真を、面ごとに1枚ずつ。
- 被害箇所の寄り: 割れ・外れ・落下物を近くから。落ちた部材が地面にあるなら、それも撮っておきます。
- 日付が分かるもの: スマートフォンの写真には撮影日時が残ります。撮り直しはせず、そのまま保管してください。
台風の強風による破損は、加入している火災保険の風災補償の対象になる場合があります。一方で、経年劣化が原因と判断されたものは対象外とされるのが一般的です。写真と見積書がそろっていると、保険会社とのやり取りが早く進みます。
よくある質問(FAQ)
- 台風の前に雨どいの掃除は自分でやってもいいですか?
- 1階の軒先など、足が地面に着いたまま手が届く範囲の落ち葉を取るだけなら問題ありません。脚立に乗る、屋根に上がる、2階の軒どいに手を伸ばす作業は落下事故が起きやすいのでやめてください。高い場所は業者に頼むか、台風が過ぎてから改めて依頼するほうが安全です。
- 棟板金の釘が浮いているかは、下から見て分かりますか?
- 分かることがあります。地上や2階の窓からスマートフォンで屋根の一番高い部分を撮り、写真を拡大して釘の頭に影ができていないか、金属の端が波打っていないかを見てください。判断がつかない写真でも、そのまま施工会社に送れば見立ての材料になります。屋根に上がって確認する必要はありません。
- 台風でフェンスが倒れたら火災保険は使えますか?
- 多くの火災保険には風災の補償が付いており、台風の強風による破損は対象になる場合があります。一方で、経年劣化が原因と判断されたものは対象外とされるのが一般的です。契約内容によって条件が異なるため、被害の写真を残したうえで、まず保険会社か代理店に確認してください。
- 窓に養生テープを貼るのは意味がありますか?
- テープはガラスが割れるのを防ぐものではなく、割れたときに破片が飛び散りにくくする効果を期待するものです。より効果が高いのは雨戸やシャッターを閉めること、飛んできそうな物を屋外に置かないことです。テープを貼る作業のために台風接近中に外へ出るのは本末転倒なので、やるなら早めに済ませてください。
- 台風の前日に業者を呼んでも間に合いますか?
- 前日は問い合わせが集中し、屋根に上がる作業自体も風で危険になるため、その場での補修は難しいのが実情です。前日にできるのは、飛びそうな物の片づけと、状況を写真に残しておくことです。気になる箇所が見つかったら、台風が過ぎた後の点検を先に予約しておくと落ち着いて対応できます。
参考にした公的情報
- 国土交通省「ブロック塀等の安全対策について」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/blockbei.html
※記事中の金額はいずれも2026年8月時点の一般的な相場の目安で、幅で記載しています。実際の費用は現地の状況を確認したうえでのお見積りで確定します。制度・補助金は年度により変わります。